人気の高い紬の特徴は?種類はどれくらい?
すべての着物が高い値段で引き取られるというわけではありません。そこで重要になってくるのが、着物の種類に関して事前にできる限り把握しておくことです。
今回は、多種多様な着物の一形態である「紬(つむぎ)」について解説をおこなっていきます。
紬の定義
現代において紬といったことばは一般的にあまり用いられなくなりました。しかし、江戸時代において紬というのはとてもポピュラーな存在であったのです。
そもそも紬ということばは着物の材料となるまゆ糸を蚕の糸からつむいでいたということに由来しており、江戸や京都などではそれこそ訪問着や小紋と同様、あるいはそれ以上に親しまれていたものだったのです。
紬は普段着としては扱いやすく、庶民が普段生活をするための衣類としては都合のよいものではありましたが、その反面、江戸時代においては礼儀の求められる場においての着用がマナー違反と見なされていました。
紬の特徴
紬の特徴は、その原料にあります。蚕の糸が使われていたと説明しましたが、実はその多くは質が振袖などの材料としてふさわしくないとみなされた、いわゆるB級品のようなものでした。大量に普及していたのもこれが理由です。
そんな紬のもうひとつの特徴が、染色にあたって「先染め」という技術が用いられているということでした。紬のほとんどは、縫われてから色づけがおこなわれたのではなく、あらかじめ色がつけられた糸を織られて作られました。そのため製造において手間がかからず、たくさんの製品を販売することができたのです。
人気の袖の種類紹介
比較的庶民的なイメージの強い紬ではありますが、産地や製造法の異なるさまざまな種類のものが存在しています。
★結城紬
養蚕がさかんにおこなわれていた結城(茨城県、栃木県)にて生産されていたもので、そのルーツをたどれば古くは古代にまでさかのぼることができるとも言われています。
そんな結城紬の中でもとくに上質なものは、原料となる生糸を現代でも機械てはなく手つむぎで製造しています。これによって原料の品質に傷をつけず、適度な空気に触れさせたちょうどよい感触の着物素材を作り出すことができるのです。
そのような高い技術力が求められる工程が国内外から高く評価され、現在は「ユネスコ無形文化遺産」ならび「重要文化財」に指定されています。
★大島紬
もうひとつ、着物を愛する方からの知名度が高いのが「大島紬」です。大島というのは鹿児島県奄美諸島のことを指しており、同地方の名産的な存在となっています。
この大島紬の特徴は、なんといっても島内に伝わる独自の伝統技術である「泥染」を用いることです。これはその名の通り泥にまみれた田んぼに繊維を浸すきわめてユニークな手法であり、これを用いることによって深みを持った独特の色合いになるというだけではなく、劣化を一般的な手法よりも軽減させることができます。
★塩沢紬
越後新潟の伝統工芸のひとつとして知る人ぞ知る名産の紬が「塩沢紬」です。この塩沢紬の起源となった織物は奈良正倉院にも現物が保存されており、歴史の古さでは先述した結城紬にも勝るとも劣らないでしょう。
塩沢紬の工程における特徴は、縦糸に一般的な生糸を使用する一方で、横糸には真綿手紡糸(繭を引き延ばしたもの)を使用するといったことです。これによってきわめて繊細な感触、質感が得られるようになり、ほかの紬とは大きく異なった満足感を得られます。
着物買取市場における紬の価値
一般的な買取市場において、紬の価値というのは”全体的には”それほど価値が高いものではありません。現存している紬の中には大量生産されたものの割合が多くを占めており、それによって平均的な価格が低くなっているからです。
しかし、それはたとえば訪問着や小紋にも同じことが言えます。この紬もまた同様であり、たとえば前の項目で紹介した塩沢紬、大島紬の中でもとくに希少価値が高いものは、10万円を超える高額査定も十分に期待できるでしょう。
買取を実施する場合は、できるかぎり知識豊富なスタッフの在籍している業者に依頼することをおすすめいたします。それならば、「スタッフの知識不足によって相場より低く見積もられてしまった」といったような事態を避けることができるからです。
着物の高額買取を狙う方にとって、紬というのはねらい目かもしれません。多くの方は派手な装飾の振袖に注目する傾向があるので、注目がそれより低くなりがちな紬は、意外な高額査定がでやすいとも言えるからです。家にたくさんの着物が眠っているなら、有名ブランドの紬がないか探してみるとよいでしょう。ひょっとすると、とても大きな利益になってくれるかもしれません。