着物や帯の最適な保管方法とは？

着物の買取りは高値が期待できることもありますが、その一方でちょっとしたことが原因で査定額が大幅に下落してしまうこともしばしばです。よって、普段からの慎重丁寧な管理が求められます。

着物だけでなく、帯に関しても徹底して保管をおこなっておかなければ、いざというとき頭を抱えるものです。

着物や帯を保管する際に注意したいもの

着物、そして帯というものは大変デリケートな衣類です。希少価値が高くなかなか手に入らないものほど、周囲に存在するあらゆる外的要因の影響を受けやすい傾向があります。保管を行ううえで、下記に述べるようなものへの注意は必須です。

★湿気
衣類にとって湿気というのはあまりよいものではありませんが、殊更着物にとっては数多く存在する天敵のひとつと言ってもよい存在です。

さまざまな染料や素材が用いられてている着物というのは、一旦湿気が溜まればたちまちのうちにカビが発生しやすい状況となってしまいます。最初は目に見えないほど小さかったとしても、発生してしまえば意外なまでに短い期間で着物を覆いつくすほどに成長しかねません。こうなってしまうと着物を傷つけずに完全除去をするというのが非常に難しくなり、買取も困難です。

★虫
着物の管理というのははるか昔から虫との戦いでした。繊維が豊富でさまざまな自然素材が用いられた着物というのは、虫たちにとっても大変魅力的なものであるからです。

着物に害をなす虫としてよく知られているのは、「ヒメマルカツオブシムシ」。この虫は着物を鋭い歯でかじり、穴を開けてしまいます。虫喰い穴でボロボロになった着物にまともな価値が認められないのは言うまでもないでしょう。

着物の適切な管理方法

上記のようなさまざまな脅威から着物を守るためには、これから解説するような適切な管理の徹底が必要不可欠です。

★「防湿」と「防虫」の両方が期待できる入れものを
着物の管理にあたって大事なのは、「どのようなものに保管しておくか」です。着物を収納する入れ物に何を使うかで、長く価値を維持できるかどうか決まるといっても過言ではありません。

古くから最適とされているのは、桐を素材として使った収納箪笥です。桐には高い防湿効果があるだけでなく、虫を寄せ付けない効果も期待できます。加えて、耐久性に関しても申し分ありません。

逆によろしくないのは、プラスチックやスチールなどの素材で作られた収納箪笥です。これらは通気性が非常に悪く、着物に適切な空気を循環させることができないため、却って品質を劣化させる原因となります。

★定期的に虫干しをおこなう
たとえ上質な桐箪笥に保管していたとしても、虫の侵入を絶対完全に防ぐことができるというわけではありません。それに、長雨などが原因で湿気が蓄積してしまうことはどうしてもあります。

そのために必要不可欠となるのが、定期的な虫干しです。虫干しは夏の「土用干し」、秋の「虫干し」、冬の「寒干し」の年3回おこなうのが適切とされており、快晴の日、朝から昼すぎにかけておよそ3～4時間ほど干すのがセオリーです。

とくに、スペースや経済的な理由から桐箪笥を用意できないならば、虫干しは必須とも言えます。

★防虫剤を入れすぎない
虫による被害を防ぐため、防虫剤を箪笥に入れるというのは有効な手段です。しかし、これをやりすぎるとむしろ逆効果になる場合があります。

防虫剤の多くは化学的な物質であり、特定の成分を近づけることによって何かしらの反応を起こすことがあります。異なる種類の防虫剤同士が化学反応を起こすことによって生じたガスや液体で着物に汚れが生じてしまえば、非常に大きな損害となり得るでしょう。

また、質のよろしくない防虫剤の場合、液漏れなどを起こして着物に損害を与えるおそれもありますので、防虫剤選びにあたっては十分ご検討ください。

帯の管理にあたって気をつけたいこと

着物だけではなく、帯も管理にあたって慎重さが必要とされるものです。着物管理で求められる方法の他に、気をつけなければならないポイントが存在しています。

たとえば、型崩れの問題でしょう。着物もそうなのですが、帯というものもまた形が崩れやすく、管理がよくないと余計なシワや歪みが増えてしまいます。それを防ぐために、専用の小箱や保管袋が必要となるでしょう。

それに加え、他の装飾品や小物といっしょにしまうのは避けてください。とくに金など金属類の小物の場合、保管中に化学反応が発生し、シミの原因となることがあります。また、尖った部分が多いものも、帯を傷つける原因となり得るので、個別に保管した方がよいです。

着物や帯というのは大変デリケートなものなので、その保管には少なからず注意が必要となります。もし、長期間の保管に自信がないのであれば、早い段階で買い取ってもらうのが無難でしょう。