留袖は格式が高い?どんな種類があるの?
多くの若い人、さらに年配の方であっても着物の種類に関して豊富な知識がある方というのはそれほど多くありません。うっかりしてしまいがちなのが「留袖」に関することです。留袖は高級品ゆえ、逆に生半可な知識が仇となりやすいです。
この記事で、留袖に関する基本的な知識や種類について解説を行っていきましょう。
留袖とは
留袖というのは、数ある着物の種類の中でもとくに高級なものとして取り扱われています。高級な着物というと「振袖」がよく知られていますが、振袖はそれに勝るとも劣らない、ものによってはそれ以上のブランド性を誇る場合もあるのです。
★名前の由来について
留袖の名前についてですが、その形状的特徴に由来しています。たとえば振袖というのはその長い袖が特徴として挙げられますが、留袖の場合は袖の部分の「八つ口」と呼ばれている部分が縫い留められて短くなっており、そのことからこうした名前となっているのです。
★どのような人々が着ていたか
もうひとつ、留袖の大きな特徴として、これを着るべき人物が決まっていたということがあります。振袖が若い未婚の女性のための着物であったことに対して、留袖は逆にある程度年齢を経た既婚の女性が着るのにふさわしいものとして作られています。
そのため、後述しますが、デザイン的にも年配の女性と相性がよいように考慮されたものが多く出回っています。現代においても留袖は和風の結婚式やお葬式など冠婚葬祭で用いられており、留袖のレンタルを行っている業者もたくさん存在しています。
なぜ留袖は格式が高いのか
留袖は振袖と同様、女性の着物の中ではかなり「格」の高い存在として位置づけられています。その理由に関しては、以下のような事柄です。
★礼装としてふさわしいものだとみなされたから
すべての着物が礼儀正しい服というわけではありません。たとえば小紋や着流し着物などを高級なパーティの場に着ていけば、「分別がなく失礼」とみなされてしまいます。格調高い場には同じぐらい格調高い着物を着ていかなければならないのです。
そういった点で、留袖というのはとてもふさわしいものとして江戸時代考えられてきました。その華やかながらも落ち着いたデザインは場の調和を乱さず礼節の高さを感じさせるものとして、高く評価され続けてきたのです。江戸時代当時であっても、そして現代においても、留袖は既婚女性が着用する着物の中でももっとも格調高い礼装として位置づけられています。
★振袖の流れを汲んでいるから
留袖と振袖、いったいどちらが先に誕生したのかという話ですが、これの答えは振袖ということになっています。江戸時代前期~中期の間に誕生した振袖ですが、留袖はそこから派生して生まれたという説が有力です。
高級な振袖の流れを汲む着物として同じぐらいの格が高いとみなされるのはある意味当然のことではありますが、留袖の場合そこから「既婚女性の第一礼装」という位置づけが定着し、年月を経るにつれ、ものによっては振袖の高級性を上回るほどのものも誕生するようになりました。
★技術と素材へのこだわり
さらに、留袖には一般的な着物とははるかに異なる高級な素材が使われています。留袖の生地の元となるのはいわゆる「縮緬(ちりめん)」と言われているきわめて質の高い布であり、それが見ためのあでやかさや着心地のよさの一因となっているのです。
それに加え、留袖の柄や帯には当時の高名な職人や有名店などが多く関わっており、それが留袖全体の価値を底上げしています。現代においてもそれは変わらず、京都の有名呉服店などでも高級振袖を多く見かけることがしばしばあります。
留袖の種類について
留袖と一口にいっても1種類だけではなく、複数の種類があります。購入や買取を行う際はそれに注意しましょう。
★黒留袖
留袖の中でもっともポピュラーなものが、「黒留袖」です。その名の通り真っ黒な色を基調としており、ある程度人生経験を積んだ女性が身につける着物としてはとてもマッチしています。
おもしろいのは黒留袖の中にも格が存在することです。その格の違いは着物に施された紋によって左右され、とくに「五つ紋」となるとかなり質の高い礼装とみなされますが、逆に格調が高すぎるゆえ、結婚式などには着用できない場合もあるので注意しましょう。
★色留袖
それに対して華やかな色合いが施されているのが、「色留袖」です。華やかとはいっても決して派手すぎず、適度な礼節と美意識が感じられるところが高く評価されています。
色留袖の強みは黒留袖のように「堅苦しすぎる」といった理由でマナー違反になるというのがほとんどないことです。いわゆる「三つ紋」ならばVIPが集まる式典にも参加できますし、「一つ紋」ならお茶会などにも気軽に着ていけます。
留袖はものによっては振袖をも超える高い買取価格が期待できます。もし家に保管されているのを見つけることができれば大変幸運です。鑑定眼に優れた業者へ買取を依頼してもよいでしょう。