受け継いだ着物の着丈が合わない!着れない着物どうする?
着物という衣類にはその他の洋服にはない、人情やあたたかさがあります。
そうした着物のいうなれば「あたたかい」側面が垣間見れるのは、着物が母から娘へと受け継がれるといったことがしばしばおこなわれているということです。この光景自体は親子合いを感じさせ、とてもすばらしいものがあります。
合わない原因は日本人の身体の変化
実を言うと、せっかく受け継いだ着物が合わないというのは意外とよくあることなのです。なぜかと言えば、これはここ数十年における日本人の身体の変化に大きく起因しています。
実を言うと、日本人の背丈や身体つきというのは戦後と戦前でかなり異なっています。これは戦後にアメリカから栄養価の高い食品が大量に輸入し、なおかつハンバーガーなど動物性たんぱく質豊富なファーストフードが豊富に摂取されるようになったからです。これは女性であっても例外ではなく、着実に大きくなっています。そうした傾向があるため、母親の着物の着丈が合わない、小さすぎるという方がいても何らおかしくはありません。
また一方で、親の身長が大きすぎるため、逆に大きすぎるといったようなこともあり得るでしょう。親ではなく、親戚や友人など親しい方から譲ってもらったといったような着物であればなおさらです。
着丈が合わない着物への対策
それでは、着物の丈が合わないといったようなトラブルが起きてしまった場合、どのような対策をすればよいのでしょうか。
★工夫をして着るようにする
もっともお金がかからずなおかつ実行しやすいのは、何かしらの工夫をして半ば無理やり着物を着るようにするといったような方法です。たとえば丈が長すぎてそのまま着用すると全体的に引きずるような形となっている場合は、余った部分を腰ひもなどで縛って丈を短くする、いわゆる「おはしょり」の方法が有効でしょう。
また、横の大きさ(身幅)が大きい場合は、脇にあたる部分で余った生地の部分を折ることによって余分な長さをなくし、そこから帯などで結びつけることによってある程度対策をおこなうことができます。また、着物のサイズが小さい場合でもなんとかなる可能性もあるのです。
しかしこの方法は、もし譲ってもらった着物のサイズが自分より小さい場合、少々難しくなります。そのまま着るといわゆる「つんつるてん」になってしまいますが、長さを増やすというのは素人にはかなり困難です。
★直しをおこなう
もうひとつの方法は、業者に依頼をして「直し」をおこなうといったものです。洋服などにおける「裾直し」などの寸法直しというのはよくおこなわれることですが、着物であってもそうした方法によってある程度サイズを改良することができます。
しかし、技術的な問題上、服のそれほど多くの業者がこれを受け付けているというわけではありません。
★買取業者に依頼する
もうひとつの方法は、着ることをあきらめて業者に買取をお願いするといったものです。「もったいない」と思われるかもしれませんが、よくよく考えてみてそもそもあまり着物を着る機会がないという方は、早めに売ってしまった方が得することもあります。
着物を長い間保管しておくというのはそれなりに手間のかかることで、少しでも油断していると湿気や虫などが原因で劣化してしまうということもしばしばです。そうなってから慌てて売るという選択をするよりは、着物の品質が衰えていない間に売却してしまった方が賢明と言えるでしょう。
着物の寸法直しについて
着物の寸法直しを依頼する場合は、呉服屋や専門の業者に連絡をとる必要があります。町の着物屋さんに相談して職人を紹介してもらうという方法も考えられるでしょう。
どのような直しをおこなうかはかなり細かく分けられており、たとえば袖の長さを直すなら「桁直し」、袖の幅を直すなら「袖丈直し」、着物全体の長さを直すならば「身巾直し」と行った具合です。料金は着物の種類にもよりますが、おおむね6,000~20,000円程度と考えておいてください。
ただし、着物の丈が短く、なおかつ伸ばせるだけの生地の余り(返り口)がそもそもない場合、寸法直しができないということもあります。
着物の買取について
昔とは異なり、着物の買取を受け付けてくれる業者もかなり多くなりました。ネット上にて「着物 買取」と検索すれば、かなりの件数がヒットするでしょう。
気をつけておきたいのは、業者によって買取額がかなり違ってくるということです。ひとつの業者で着物を売ったらもうひとつの業者がより高い価格で同じものを買取っていたということを知り、ショックを受けるといったことも少なくありません。できる限り、複数の業者から見積もりをとるようにしましょう。
せっかく譲ってもらった着物のサイズが合わないというのは割かしよくあることで、その対策に関してもさまざまなものがありますが、どうにもならないこともゼロではありません。
その場合、少々後ろ髪を引かれる気持ちになるかもしれませんが、買取を検討してみるのもよいでしょう。